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老人と船
 タイは雨期になると毎年のように洪水の被害が発生しますが、今年はバンコクでも特に雨が多く、東北地方の冠水によってバンコク〜ノンカイ間の鉄道が一時不通になるなど、その被害規模は例年よりかなり大きかったようです。中南部ぺチャブリ県では、その洪水をめぐるタイらしいドラマがありました。
 9月19日、川に浮かぶボートハウスで暮らす108歳のイェン爺さんが大雨で船ごと流されそうになり、すんでのところで救助隊に命を救われたのです。救助隊は最初、船をあきらめてイェンさんを病院に運ぼうとしましたが、イェンさんは船を放ったままここを離れるわけにはいかないと意地を張り、救助隊が大奮闘して船を岸に引き上げました。イェンさんはそれを見て、ようやく病院へ向かうことに同意したそうです。実はこのボートハウスは、10年前にテレビのドキュメンタリー番組でイェンさんのことを知ったシリキット王妃から寄付されたものです。100歳を超えてなお自立精神を忘れず、船ひとつでつつましい暮らしを続けるイェンさんの姿は、「足るを知る経済」を提唱するプミポン国王にも深い感銘を与えていたといいます。
 この洪水騒ぎの後、ボートハウスはさらに丈夫で広いものに改装されて再びイェンさんのもとに届けられたのですが、「新居」が完成して間もなくの10月12日、残念なことにイェンさんは心臓病で息を引き取ってしまいました。救助隊に命を救われた際、イェンさんは大雨の中、船を流されまいと必死で格闘していたといい、それが108歳の体に大きな負担となっていたのかもしれません。イェンさんは命がけで王妃の思いを守り通したのです。
イェンさんの葬儀は翌日、3000人の参列者出席の下、イスラム教のしきたりにのっとって行われました。

 

泳ぐ牛
 洪水は人間だけでなく、動物の生活にも影響を及ぼします。洪水被害が特に大きかった中部アユタヤ県では、草を食べられなくなった牛が草地を求め、川を泳いで大移動する光景が見受けられました。この牛の群れは無事に別の草地にたどりつけたのでしょうか。そして洪水が去った後でまた元の場所に戻ってくるのでしょうか。また、同じアユタヤ県では、エサ不足になったサルの群れが人里に出没し、食べ物を盗むケースが頻繁に起きているようです。空腹時のサルは非常に危険で、小さな子供が襲われると命を落とすことさえありますから、ロッブリーなどサルで有名な観光地を雨期に訪れるのは控えた方がいいかもしれません。

 

タカトーン

トッケー(大ヤモリ)とチンチョック(小ヤモリ)を売って大儲けをしている村の話を前回紹介しましたが、今回はキリギリスです。東部チャンタブリ県ソーイダオ郡トゥンカナーン地区では今、キリギリスの一大捕獲ブームが起きており、どの家にもネットと誘蛾灯が設置されています。夜の間にネットに集まってきたキリギリスを捕まえると、業者が1キロ5―20バーツで買い取ってくれるのだそうです。写真にはツユムシの仲間が写っているようですが、これもやはり油で揚げて食べるのでしょうか。バッタ類は標準タイ語でタカテーンと言いますが、地元の人たちはタカトーンと呼ぶそうです。

 

5周年

10月12日、中国からタイにやってきたパンダのカップル、チュアンチュアン(雄)とリンフイ(雌)が来タイ5周年を迎えました。2頭にはタイで初めてのパンダの赤ちゃんへの期待がかかっており、パンダ用のアダルトビデオに人工授精、果ては性器増大マッサージと様々な試みが行われてきましたが、いまだ成功には至っていません。2頭のレンタル期間は10年なので残るはあと5年。その間におめでたの報は得られるのでしょうか。

 

1トンブラザーズ

タイ最重量を誇るビッグファミリー、ジャンナート一家は、東部チョンブリ県サタヒープ郡プルータルワン地区に居を構えています。家長のロートさん(74)と妻のブさん(72)は40キロに45キロ。普通よりむしろやせている方ですが、9人の子供たちは49歳90キロ、46歳男130キロ、40歳男70キロ、36歳女103キロ、33歳男200キロ、33歳男98キロ、29歳男120キロ、27歳女110キロ、26歳女80キロ。兄弟全員合わせるとちょうど1トン。実際にはあと7人子供がいたそうなのですが、健康状態がすぐれず、みな死んでしまったと言います。いったい彼らはなぜこんなにそろいもそろって太っているのか。単純にごはんを食べ過ぎなのではないかと思ったらさにあらず。花輪作りで細々と生計を立てているロートさん一家は、大家族ゆえに毎日の食費にも事欠く有様で、家の回りに自生しているパクブン(空芯菜)を主食にして来たといいます。パクブンに特別な栄養素でも含まれているのでしょうか。そうでなければ、何らかの遺伝的特質ということでしょう。地元の保健所が今後、ジャンナート一家の健康管理を行っていくそうです。

 

盗撮(芸能ニュース1)

 9月から10月にかけて連日新聞紙面をにぎわしていた芸能ニュースの筆頭格が、アイドルデュオ、フォーモッド盗撮事件です。コンサートツアー中に宿泊した東北部コンケン県のホテルでフォーさんとモッドさん2人のシャワーシーンが盗撮され、インターネットの動画やコピーCDとなって広く出回ってしまったというものです。プロのカメラマンによる仕業との憶測が流れた後、元ホテル従業員の軍人男性が犯行を自供して一件落着はしたのですが、軽犯罪であれば微々たる報酬で簡単に「犯人」を雇うことができるタイのこと、一部関係者の間では犯人でっち上げ説も根強く残っています。この騒ぎでもっとも大きな被害を受けたのは、本人たちでもレコード会社でもなくて、盗撮現場となったホテルのようです。たかが盗撮のために大勢の捜査員とマスコミが大挙してホテルに押しかけ、宿泊客が激減したためとうとう売りに出されることになりました。価格は9500万バーツ。その後、買い手はついたのでしょうか。

 

軋轢(芸能ニュース2)
フォーモッド盗撮事件の少し前、7月から8月にかけて連日紙面をにぎわしていた芸能ニュースといえば、アクション俳優トニー・ジャーの失踪事件です。新作映画「オンバーク2」の撮影終了直前、現場を放ったらかして突如姿をくらませてしまいました。金銭トラブルだとか、映画の仕事がいやになってゾウの世話をしに帰ったなど様々な噂が飛び交いましたが、その後、テレビのトーク番組に出演して涙まじりに複雑な胸中を吐露。さらに、警察高官立ち会いの下でタイ映画界の重鎮ソムサック氏と和解にこぎつけ、なんとか撮影現場に復帰しました。その後、オンバーク2は無事にクランクアップ。国王誕生日の前日、12月4日にタイで封切りを迎えることになりました。

 

再会

30年間離ればなれになっていたタイ人の父とドイツ人の息子が9月30日、バンコクで劇的な再会を果たしました。父はシーメンスのタイ現地法人に勤めるデーンさん(54)。息子はフリーランスプログラマーのサイアム・モーディーさん(32)。デーンさんは米国留学時代にドイツ人女性と知り合ってサイアムさんが生まれました。当初はタイで一緒に暮らすはずでしたが、デーンさんの事業が失敗し、デーンさんがドイツで暮らすためのビザも容易に取得できず、やがて彼女がドイツで他の男性と結婚することになったため、2人は別の人生を歩み始めました。デーンさんが最後にサイアムさんを見たのは、生後2カ月の時でした。やがてサイアムさんは成人し、両親の事情も包み隠さず聞かされていたため、16―17歳の頃にはいずれ必ず父に会いに行くとの決意を固めていたそうです。最近になって、サイアムさんの意向を受けたドイツのテレビ局がタイのテレビ局に調査を依頼し、親子の30年ぶりの再会をお膳立てすることになりました。再会場所はルンピニ公園。再会が実現した瞬間、デーンさんは英語で「ウェルカムホーム」と話しかけ、サイアムさんはタイ語で「サワディー・クラップ・ポー(こんにちはお父さん)」と答えたそうです。

 

金属ドロ

マンホール、駐車場の柵、仏像の金箔、焼き場の格子。金属価格の上昇に伴い、ありとあらゆる金属製の品物が盗まれている話を前回紹介しましたが、今もまだ金属盗難は多発しています。バンコク近郊のノンタブリ県では9月、トイレの水洗コックと金属パイプを盗みまくっていた元教師の男が逮捕されました。デパートやホテルのトイレをターゲットに盗みを繰り返し、キロ135バーツで業者に売っていたそうです。トイレの個室で盗みができるわけですから、盗撮でもされない限り(男性用トイレならなお安全です)そう簡単にばれはしないでしょう。運悪く捕まってはしまいましたが、目のつけどころはよいと感心せざるを得ません。次はいったいどんな金属が盗まれるのでしょう。

火の玉

いまや一大観光イベントとなったメコン川の火の玉見物。今年も大勢の見物客が東北部ノンカイ県へ、あるいはここ数年になって火の玉が出るようになったというウボンラチャタニ県へ殺到しました。バンファイパヤーナークと呼ばれるこの火の玉は、一年のうちオークパンサー(出安吾=今年は10月14日)の日にだけ出現すると言われ、今年も無事に約200個の火の玉が現れて見物客を楽しませたそうです。

いったいこの火の玉は自然現象なのか、それともだれかの演出なのか。毎年変わる出安吾の日にだけ出るのだから後者だと主張する人は多いのですが、こうした論争自体が火の玉人気の理由になっているのもまた事実。決着が着いてしまったらブームそのものが去ってしまうかもしれません。まだ見たことのない人は一度くらい見ておいた方がいいでしょう。

 

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