

6月14日にバンコクで行われた2010サッカーWC予選タイvs日本はタイの日本人社会でも相当の盛り上がりを見せた様だ筆者は日本でTV観戦だったのだが、スタジアムの内外も予想以上に見渡せることができた。タイでのTV中継にはアヴァンVTRも勝利インタビューの時間も無く、ただ試合だけを放送するスタイルが一般的。それに対し、日本のTVではその日に至るチームの状況やバンコクでの練習風景、対戦成績や相手選手の情報までこと細かく、短い時間に凝縮して紹介してくれる。タイに居る時よりも的確に情報が入るし、すべて日本語であることが何よりありがたい(苦笑)。タイに住んで、シンガポールでジーコJAPAN、ベトナムでオシムJAPAN、マレーシアではアジアユースと近隣国に日本代表を観戦しに行ったのに、何故か地元タイでの日本代表との縁がない。とはいえ今回の「日本から見たタイ」はとても面白く興味深かった。時折はさまれる日テレ独自に用意したカメラが、スタンド観戦では見られないスタジアムの雰囲気を細かく伝えてくれた。こういう「かゆい所に手が届く」配慮は日本ならでは、かもしれない。
勝利インタビューで中村俊輔が「ホームのようだった」と話したように、スタジアムはJAPANブルーが試合内容同様、王様カラーである黄色を圧倒した。実はこれには理由がある。タイのサッカーファンは欧州サッカーEURO2008のTV中継で、12日間連続深夜2試合というタフな日々を送っていたのだ(この前夜に放送されたオランダ-フランスなど最高に面白い試合だった!)。多くのタイ人は社会問題化するほどの寝不足状態。野球という(五輪種目からも外れる)アメリカ依存の地域スポーツを長く振興してきた日本人には理解しがたい状況だろうが、そもそもFootballをサッカーと呼ぶ日本の方が世界でも例外であり、この種の世界基準をタイから知ることは少なくない(タイ語でサッカーはフッボーン)。筆者はフットボールが世界共通の話題であることをタイから教えてもらった。
そういえば、この春サッカーを通してのタイvs日本は何かと多かった。
昨年浦和レッズが優勝し、その直後の世界クラブ選手権で世界3位となったことで俄然注目されたアジアチャンピオンズリーグ(ACL)。今年、これに参加した鹿島アントラーズとガンバ大阪がタイのクラブチームと同組になり、それぞれHome&Awayで対戦した。3月、まずは鹿島が猛暑のバンコクでクルンタイ銀行と対戦、同日にチョンブリが大阪でガンバと。昨年のタイリーグ王者のチョンブリはガンバから先制点を奪い、ロスタイムに惜しくも追いつかれるも良く組織された好チームとの評価を得た。結果は日本の両チームがそれぞれグループ1位で決勝トーナメントに進出、9月以降シードされた浦和とともにアジアナンバー1を目指す。
同じ5月、アジアフットサル選手権がバンコクで開催。フットボールでは日本に水をあけられているタイだが、5人制サッカーのフットサルではアジアでも強豪。大会は予想どおり地元タイが快進撃。1-0で日本に辛勝したアジアチャンピオン・イランと決勝で対戦するも、0-4で完敗! 3位になった日本とともに今度はフットサルワールドカップの舞台へ進むことになった。
そんなフッボーンな流れもあっての今回のWC予選。本来ならタイで現地観戦したかった気もするが、ACLも全て中継で見ることができたし「サッカーから見た日本とタイ」を細かくチェックできた事は貴重な体験であった。ブログやmixiなど個人メディアからの情報も大いに役立ったし、何よりこんなにスタジアムに集結し、タイを身近に感じてくれる日本人が多数居てくれることにタイと日本の距離の「近さ」を実感できた。
こうなると今や日本とタイの間に立ちはだかる最大の敵は、両国共に止まらない諸物価の高騰と、航空券の燃料サーチャージかもしれない(苦笑)。
闘莉王と中澤の「高さ」でタイを3-0で圧倒した日本代表。2月の日本戦で見事なミドルシュートを決めたエース・選手権で1993-94年と連覇したタイサッカー史に残る金字塔を打ち立てた名将。監督よりもタイ選手の精神面の課題 が大きいかも。

(写真・青に染まるスタンド)
JAPANブルーがやたらと目立ったスタンド。バンコク日本人会や日系企業、日本人学校では動員も掛かり、さながら会場は家族レクリエーション、タイ好き日本人の社交場と化した。サッカー初観戦の人も多かったのでは?
匠武士 タイ愛好家 HP「タイで想う日々」でもサッカーのことを書いています。
http://www.taideomou.com/archives/cat_1368059.html