
1) 結婚の形
結婚は適齢期の男女だけのものにあらず。おおらかなタイでは、制度や常識にしばられない様々な結婚の形があります。
6月1日、バンコク近郊のサムットサコン県で新郎役のポンティップさん(46)と新婦のウワイポンさん(36)が盛大な結婚式を挙げました(写真1)。えり足を短く刈り上げてタキシードに身を包んだポンティップさんは人のよさそうな普通の中年男性にみえますが、実は女性。タイではこのようなトム(レズビアンの男役)とディー(レズビアンの女役でたいてい美人)のカップルをよくみかけますが、結婚式まで挙げるのは希なケースです。結婚で大事なのはもちろん男の経済力。ポンティップさんは広大な果樹園を所有しているそうです。
写真1
女同士の次は男同士です。老齢の西洋人男性と若くキュートなタイ人男性のカップルとなるとどうしてもある種の偏見をもたれがちですが、中にはまじめに愛を育て上げ、ゴールインするカップルもいます。オランダ人のロバート・リッチャーさん(64)とタイ人のワラロップさん(29)は5月9日、ワラロップさんの故郷、東北部ナコンラチャシマ県で結婚式を挙げました(写真2)。リッチャーさんは母国で印刷会社を経営しており、ワラロップさんに海のほとりの一戸建てとレストランをプレゼントしたそうです。
写真2
では次、道ならぬ50年の想いを超えて遂に結ばれたおじいさんとおばあさんです。新郎のジャランさん(72)と新婦のブンソンさん(76)は5月30日、南部スラタニ県で結婚式を挙げました(写真3)。ブンソンさんはもともとジャランさんの奥さんの友人で、お互いにひそかな想いを抱きつつも、それぞれ自分の家庭のために人生を捧げてきました。50年の時を経て、奥さんと死に別れたブンソンさんと夫と別れたジャランさんが再会し、残りの人生を助け合っていこうと結婚に踏み切ったわけです。
老人の独り暮らしが大きな社会問題となりつつある日本にとって、こうした高齢者同士の再婚は、国策としてどんどん奨励すべきかもしれません。それにはまず、制度や常識にしばられずに他人の幸福を祝福できる社会の風潮が必要かもしれませんが。
写真3
最後は人間と動物との結婚譚。東北部ウドンタニ県の青年、サティアンさんは今年4月、メスのニシキヘビと結婚して話題をまきました。目の前に頻繁に現れるニシキヘビが前世の恋人だと占い師に言われ、それを信じて結婚したというわけです。結婚式にはタイ全土、はてはラオスから見物客が訪れて村は大賑わい。食べ物屋台がずらりと立ち並び、新手の村興しではないかと噂になりました。そしてついに2人の愛の物語はVCDに(写真4)。最後は結局、新婦のニシキヘビから檻から逃げ出してしまったのですが、異類との結婚まで祝福してしまうタイ人の心の広さと、ついでにその商売根性にも頭が下がります。
写真4