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「偽装」 日本では耐震データ偽造事件で大騒ぎ、マンションなどの解体工事が行われているようですね。 11年前の阪神大震災時に、ニョキニョキと乱立するバンコクの高層ビルは大丈夫なのかと思い、建設に携わる日系ゼネコンの現地駐在員に話を聞きました。カメラとマイクを突きつけて聞いた話ではなく、偶然に隣合わせた居酒屋カウンターでの話です。 「日本の耐震基準に合わせた見積もりを出していたら、地元業者の数倍の建設費になり受注されない。耐震構造には経費を掛けていません。他社も同じです。震度4ぐらいの地震がバンコクで起これば、ちょっと怖いですね。でも、バンコクは地震の可能性が少ないですからね。アジアの他の国々でも、似たり寄ったりですね。」 昨年10月のパキスタン大地震で首都イスラマバード市内の高級アパート「マルガラ・タワーズ」が倒壊しました。日本のJICA専門家親子も犠牲になり、倒壊現場から連日の報道がされました。私は現場に行っておらずニュース映像を見るだけだったのですが、その倒壊の様子や近隣ビルのダメージとの比較から手抜き欠陥建築であったことが指摘されています。外国人が多く居住する高級アパートだから頑丈に建築されているだろうというのは幻想でしかありません。安く作って高く売るのがビジネスと言えばそれまでですが、あまりにも経済中心の発想が罷り通っています。 「偽装」というキーワードでタイ周辺を見てみると、紙面が足りないほどに事例があります。 美容整形、人身売買のための偽装結婚・養子縁組、ブランドものコピー商品、禁煙を謳う一方で生産・販売を続ける政府タバコ公社、国境カジノ、警察幹部や政治家が所有するソープ・ランド、・・・ こんなふうに「偽装」が氾濫していると、哀しいことですが何事にも疑い深くなる習性がついてきます。 レストランの計算書にオーダーしてないものが書かれていないかチェックするタイ人の念の入れ方は尋常ではありません。 そんなタイに来る日本人が陥りやすい罠があります。 日本人だから安心、日系の会社だから大丈夫だろうという「日本偽装」に騙されて痛い目に遭ってしまうのです。日本人の間での詐欺事件がどれくらい起きているかは知りませんが、被害に遭った例はいくつか知っています。年金生活を送るためにタイにこられた高齢者など、不慣れな海外でついつい日本人に頼ってしまいます。そうした年金生活者をカモにしている日本人詐欺グループもいるようです。大使館に在留届を出している人だけで2万人、旅行者などの流動人口を含めると常時5万人ほどの日本人がタイにいるわけですから、良い人も悪い人もいます。 正月早々、夢のない話ばかりですみません。 そこで嘘も方便というか、偽装も方便という話をひとつ。 海外からも遺族を招待して行われたプーケット津波一周年追悼式典は、大偽装イベントでした。 追悼というよりは、観光客を戻すための政府あげての大キャンペーンです。 プーケットでは観光施設は復旧しているのに肝心の客足が元に戻らず、地元業者は津波以上の大打撃と悲鳴をあげています。浜辺でゴザを広げて客を待ちぼうけているマッサージのオバサンたちも、貸しビーチ・パラソルのお兄さんたちも、まったく元気がありません。プーケットへ行き、思いっきり遊んでお金を落とすことは復旧支援に結びつくことです。また、津波警報システムや避難誘導路などの防災設備も整備されたので、以前より安心です。だから、観光客にはプーケットに戻って欲しいと思っていますし、政府あげてのキャンペーンも肯けることです。 でも、私は天邪鬼です。 取材登録者には、津波ロゴ入りポロシャツにデイパック、筆入れ、ペン、メモ帳、帽子などがセットになったプレス・キットが無料配布されました。こうしたお金も復興予算から出ていると勘ぐると複雑な気分です。追悼式典のプレス・センターに首相一族所有のホテルが指定されているなどイベント利権や復興利権の偏り、犠牲になった多くのビルマ人出稼ぎ労働者については不明のまま放置するなどの差別、イベントに多大な予算をかけるなら孤児問題などに・・・とか、ちょっとナナメに式典を見てしまいます。 式典のクライマックスに、プーケットの夜空に5000個の灯篭が飛ばされました。瞬間、ナナメに見ていたことを忘れ、その幽玄な光景に思わず見とれてしまいました。 やるなあ、タイランド。 タイ・プーケットとインドネシア・アチェ、津波被災直後からその復興の経緯を見続けてきました。 アチェでは復興が遅々として進まず、テント生活を続けている人たちが多く残っています。被災規模はアチェの方が断然に大きいですし、政治状況なども違いますから一概に比較することはできません。でも、一年経ってタイとインドネシアでは復興に大きな開きが出ていることは事実です。 それがどうしてなのか。一括りにアジアといわれるけれど、その違いにアジアを読み解く鍵があるような気がしています。そのことについては、改めて御報告します。 数だけでいえば、一度に広島や長崎の原爆以上の犠牲者がでたスマトラ大津波。次々と新たな災害や事件が起こってニュースの話題から遠ざかっていきますが、一年や二年で被害者たちの傷跡が癒えるものではありません。 「偽装」に惑わされることなく、これからも見続けていきたいと思います。
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VOL. 43の内容
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