窃盗・強姦 しつけと教育

   By Tamami Kawaura

VOL37
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「クーン・バープ・パホムピラーム」(ピラム村の重罪)という映画が、昨年末、タイで話題となり、庶民の好奇を呼んだ。

映画のストーリーは、三十数年前、ピサヌローク県ピロム村(映画中ピラム村)で、実際に起こった事件を映画化したもので、ざっと以下のとうりである。

当時、隣接のウッタラデイット県で働く夫に会いに行く為に、ピサヌローク県から列車に乗った女性が、駅のホームでスリに遭い、財布と乗車券を盗まれてしまう。

それに気が付かぬまま列車に乗った女性は、車掌が乗車券の提示を求めに車中をまわり出した際に、自分のバッグの中に財布も乗車券もない事に気が付き、放心状態になってしまう。

 多分、財布の中に、連絡先のメモなり、身分証明書なり、大切な物が他にも入っていたのだろう。車掌の質問に、「(乗車券もお金も)ない。」とだけ答えた彼女は、「無銭乗車」という事で、次の駅「ピラム村」で、駅員達から車外に引き摺りおろされてしまう。

これから自分がどうなるのか・・・という恐怖心の為か、彼女は、駅員達の腕をはらいのけて、走り出した列車に向かい、「私も乗せて行って!」と叫び、線路づたいに駆けだしてしまう。そして夜になり、途方なく、一人歩いていたこの女性は、同村の男たち数名から集団レイプをうけた後、口封じの為に殺されてしまう。翌朝、死体となって発見される。

実に、惨澹たる、残虐極まりない話しである

この映画を観て感じた事は、「つまり、しつけと教育の遅れだ。」という事である。 スリにあった事が不幸の始まりである。しかし、それなりに、車掌に事情を話、然るべき人に然るべき対応をとってももらうなりすれば、その後の悲劇は十分に防げたはずである。しかし、それができなかった事に、女性側と周囲の人間側の「教育の遅れ」を感じる。

また、駅員が力ずくで、この女性を列車から引き摺り降ろ事など、人が人に対してやるべき行為ではない、「しつけ・教育両面の遅れ」であるし、夜になり、一人、見知らぬ土地で困っている女性に対して、助けるべきところを、レイプして殺してしまうなどは、物事の善悪を知らない、人としての「しつけの欠落」以外のなにものでもない。・・・・・・「しつけと教育」がしっかりしていれば、起こりうる事のない事件だったと思う。

 30年以上たった現代のタイ社会で、この「しつけと教育」が改善されたかといえば、学校教育におけるしつけや教育水準は向上したようだが、実生活におけるそれは、30年前と五十歩百歩である。むしろ、経済発展した分、その弊害的な社会問題が現象化し、犯罪件数も増加し、家庭における親子のコミュニケーションは希薄になり、昔よりも悪くなった部分も少なくないかと思われる。

何事かのトラブル・アクシデントの際、然るべき人による然るべき対応が、スムーズに行われず、対応時の態度・言葉づかいの悪さに腹を立てたり、気分を害したり、何の処置もされず放っておかれたりといった事は日常茶飯事である。

 

バンコクの、特に中産階級の大人達は、英語・パソコン・学習塾・ホームステイなどと、子供に対して教育熱心な親が多い。しかし、もっと大人がお手本となって、子供たちに社会的モラルやマナーを教えるべきではないだろうか。

自立心・責任感・正義感・思いやりの心など、これらは、子供が成長していく過程で、親が身をもって教えなければ、子供の身につかないものであり、それが「教育」であり、社会的モラル・マナーを教える事が「しつけ」である。

同映画を好奇心のかたまりで観て、「ひどい話しだねぇ。」と、なんとなく、他人の不幸を楽しんでいるようなタイの大人達。しっかりしてほしいものである。「ピラム村の重罪」は30年前のタイの田舎であったから起こった事件ではない。「しつけと教育の遅れ」が引き起こした悲劇である。あなたの住む町が、いつ「ピラム村」になっても不思議ではないのである。

その点をよく認識してほしいものである。

 

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