|
|
|||
| VOL.32 TOPへ
|
先般、中国政府公安に拘束され国外追放処分にされたNGO北朝鮮難民救援基金の加藤博事務局長の事件が話題になりました。ふと、あのジャーナリストの加藤博氏かな、と思いました。直接に見知っているわけではないのですが、ビルマ国境にあるカレン族独立解放区コートレイのことを書いた「地図に無い国」の著者です。調べて見ると同一人物であることが分かりました。ジャーナリスト加藤博氏が、どのような変遷を経て、北朝鮮の人々を救援するNGO活動をすることになったのか、興味のあるところです。私は「地図に無い国」をバックに抛りこんでコートレイに通ったことがありますが、加藤氏の取材は信頼に足るもので大いに参考にさせていただきました。タイとビルマの政治経済関係の変化、そしてビルマ軍の攻勢とカレン軍の弱体化で、コートレイが“地上に無い国”になりつつある現在、「地図に無い国」はカレン族の若者にとっても貴重な記録です。 私たちは本や新聞、雑誌などの情報を参考に現地に赴くことが多いのですが、裏切られることが侭あります。実際に現地を取材して見ると情報の誇張やウソが分かり、がっかりしたり、困ったり、激怒します。 数年前に、こんなことがありました。チェンマイでコリアン・レストランを経営する韓国人Aさんは、破天荒な海外体験を書き綴った冒険ノンフィクションを出版して母国で話題になりました。ところが、話を面白くするための本人のサービスなのか、かなりのホラ話が混じっていたのです。 “カレン族のルーツは、コリアン(実際に現地ではカレンではなく、コーリアンと聞こえます)である” “カレンなどの山岳民族を集めて軍隊を編成し、麻薬王クンサー軍と戦闘した” というような記述が、韓国のテレビ・メディアの関心を集めて、A氏に取材依頼が殺到したから大変です。韓国に一時帰国したときには、空港まで2〜3のテレビ局がインタビューに来たといいます。A氏は、ウソでしたと言うわけにもいかず、ウンとかアンとか適当に応えていたら、本当にテレビ・クルーがチェンマイまで来てしまいました。こうなると御本人も、撮影スタッフも大慌てです。結局、A氏はコリアン・レストランを人に売却して行方を眩ましてしまい、撮影スタッフは上司の大目玉を覚悟してシブシブ韓国に帰りました。 後日談ですが、最近Aさんはチェンマイに戻り、新たなコリアン・レストランをささやかにオープンしたということです。 さて、バリ島爆弾テロ事件の余韻が続いています。豪政府などが、次の標的は外国人観光客の多く集まるプーケット島やサムイ島の可能性があるなどと発表したものですから、タイでも戦々恐々です。最近、こうしたテロ事件に関しては、情報の誇張やウソが罷り通っているような気がします。イスラム過激派組織ジュマ・イスラミヤやアル・カイーダがやったという確証がない以前に、情報が一人歩きしてアル・カイーダの反米テロ行動ということになってしまいました。本当に実行犯がアル・カイーダの関係者だったとしても、いろいろな可能性が考えられるうちは、断定しては危険です。実行犯に、ある謀略機関が資金と武器を提供して自作自演のテロを行ったという可能性もあります。ある謀略組織とは、反テロリズムのムーブメントが起こることで、軍事的に、政治的に、経済的に利益を得る組織です。その辺は想像の世界ですが、実際にそのようなことが世界で起こっていることも事実です。 ここ数年、タイ南部で連続して起こっている爆破事件も、イスラム分離独立過激派PULOの仕業であると新聞、テレビなどで大きく喧伝されてきました。政権側は、イスラム過激派の仕業にしておけば、アメリカなどからテロ対策支援が得られ、反テロリズムということで軍事費増額の了承を国民から得ることができ、警察権力を助長することができます。ところが、実際のPULO(マレーシア側に本拠地がある)は、もはや骨抜き状態で、継続して爆破事件を起こすような組織力は無いとされています。そんなことで、南タイを巡る新旧マフィアの抗争にタイ軍部が絡んでの権力争いではないか、というような報道が最近になってされるようになってきました。 ネパールでは、マオイスト・ゲリラと政府軍の戦闘が、ますます激しくなっています。このマオイスト・ゲリラをテロリストとして国際社会に認めてもらい、米英の軍事支援を得て、劣勢の政府軍が形勢逆転を狙っています。 フィリピンでは、和平交渉の席につき一旦、合法化したCPP(フィリピン共産党)ですが、政府のリクエストでアメリカがテロ組織に指定したことで、再び地下に潜行しテロリストとして追われることになりました。 政敵あるいは敵対するグループ、国を追い落とすのに「テロリスト」の烙印を押せば、国際社会から支持、支援を取り付け、堂々と武力行使できるという図式ができあがってきています。そして誰が、テロリスト、非テロリストの区別をするのかということが気になります。タイや近辺の国の政権では、その辺の構図をわきまえていて、ちゃっかりと利用しているような気がします。 ちょっとレベルは違いのですが、体制に批判的ななことを書いている私はいつ「テロリスト」の烙印を押されるのか、オドオド、ドキドキするようになってきました。(笑) (MK) |
||
| VOL.32 TOPへ ![]() |
|