タイに生きる日本人の虚像と実像

by 三木 泰男

VOL.31
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 いつも、女性中心の話題が多いので、今回は男性を少しいじめてみよう、「タイの日本人」タイで仕事をしていたり、遊んでいたり、老後の人生を掛けたりしている人々の生活をご紹介したい。

過去においては、タイに来る日本人は観光目的が主であったが、最近少し様変わりしてきている。

「独立! 残りの人生を掛けた冒険」

 現在、急激に増加中なのが、大手会社や各省に勤めるシルバー世代の退職・独立ブームである。タイに赴任し、任期が切れても帰国せず退職し、赴任中に培ったコネやラインを頼りにタイで現地法人を設立し、下請け会社や飲食店などを経営するのである。

 しかし、世の中そんなに甘くは無い!独立して成功するのは一握りの人間だけで、その他の人間は一年も持たずに挫折して行く。(タイなら出来ると思う事自体、日本人の奢りである)彼らは、もちろん分別をふまえ、それなりに経営計画を立て、資金調達も万全にして独立するのであるが、では何故?失敗するのであろう?

 

 彼らの行動を取材し、私なりにワースト3を考えてみた。

 第一、多いのは何と言ってもタイの愛人を経営のパートナーにした為に起きる失敗である。

 第二、仕事の受注を勤めていた会社(官庁)に期待して独立したが、蓋を開けてみると見事に裏切られ注文が何処からも取れずに敢え無く倒産。

 第三、自分が得意とする分野ではなく、金に物を言わせてカラオケクラブや飲み屋などの飲食店を開店させたが、結局は、経営手腕がなかった為に店を潰してしまう。

 第一は問題外であろう。大体シルバー世代についているタイ人の愛人は、90%は水商売の女性が多い。

 裏を返せば、元々お金に付いてきた女で、別に男に対して「愛だとか、恋だとか」という感情は持っていない。男の方が勝手に自分だけの愛人だと思い込んで信用し、会社なり店なりを安易にまかせてしまう。

 その結果、商売に失敗して金が無くなれば男が捨てられる、逆に商売が上手くいけば、会社なり店なりを乗っ取られる。まあ立ち上げに際して、愛人の名前を借りて商売を始めるのだから、元々愛人のものであり、騙されたと訴えても外国人である日本人に100%勝ち目は無い。

 酷いのになると、一時帰国などで日本に行ってタイに帰ってみると、金は持ち逃げ、店は売却されていた。などの実例は五万と有る。

また、愛人の弟だからと紹介され、それではと雇い入れたタイ人の男が実は恋人で、二人で共謀し売上を誤魔化したり、商品などを横流しにして荒稼ぎしていた例もある。独立して第二の人生を歩もうとしている人間が、愛人を使っちゃいけませんよ、本当に!

 第二は比較的に大手法人に多く見られるケースである。

 特に技術職の人間が、自分の分野を生かそうと独立しても悲惨な結果を招く場合も多い。元々、大手法人の組織の中で手腕と威勢を張ってきた人間が一度野に放たれると始末が悪い。このタイプの人間は、自分が代表になったという意気込みと、自身の技術の高さを鼻に掛けて、何事につけても威高々となり話方も尊大になりがちです。これでは社員はついて来ない。これは受注先の元の会社に対しても同じ事で、以前の上司に対して同等の口をきき始め、相手の心象を悪くしてしまう。もともと営業などしたことが無いのだから、接待どころかお世辞の一つも言えない、受注が減るのは当り前。そして、社員がやる気を無くしているから、納期は遅れ粗悪品が増える。

 こうなれば、もう手も付けられない程の最強最悪のパターンである。後は潰れて借金が残るのみ!この種の人間は、組織の力を自分の力と勘違いしている人間に多い。タイで生きる為には何が必要かという事が見えなくなってしまった人達の例である。

 第三については、一概に元企業人だけとは言いがたい。何故ならば、現在タイに大挙して来る「一旗挙げよう組」のシルバー世代も大体このパターンが多い。なんといっても多いのは「カラオケクラブ経営」である。彼らは、店とカラオケの機械があれば直ぐにでも儲かると思っているらしいが、お酒やつまみなどの仕入れ、ホステスの募集・管理・教育、給与計算(遅刻・残業・連れ出し・罰金など)、集客(広告・接待・招待など)、ザッと挙げただけでも大変な作業である。特にホステスの管理が一番の問題で、客の目当てはカラオケではなくホステスなのである。客のニーズが何なのかという所から間違っているのである。それに、ホステスというのは給料や待遇によって、店から店への移り変わりが早く、ホステスが移籍するとお客も一緒に移籍先の店にいく。つまり、タイ人の気持ちもタイ社会も判らない人間が簡単に出来るほどあまい商売ではないのである。

 次に多いのが飲み屋等の飲食店であるが、日本でお店をもっていた経験者ならいざ知らず、まったくの素人が飲食店を経営しようなどという発想が良く出てくるものである。結局は、騙され、店のお金を使い込まれ、最悪の場合は乗っ取られて終わりである。お客さんに愛想の一つも言えず、商売上の話も満足に出来ず、お客が誰も来なくなる、まあ、当然と言えば当然の結果だろう。

 あと多いのは、日本の中古品、特に家電製品を持って来てタイで販売しようとして失敗するケース。タイという国を舐め切っているとしか言いようが無い!現在のタイの家電市場は日本に劣らず良い商品が安価で出回っている事を知らないのであろうか?ここ2年位はタイでも「ロータス」や「カルフール」など量販店がしのぎを削り、安売り合戦が繰り広げられている、商品によっては日本より安い品物もあるのだ。第一、100ボルト仕様の電化を220ボルトの国で使う場合、変圧器が必要とする。その分の費用は?関税は? タイ国内での陸送代は?メンテナンス関係は?ん?ん〜? 何も考えていない!聞いていて腹が立つ!

 実際、この様な事があった。

 日本からコンテナでエアコンの中古を200台持ち込んだから、売り先を探して欲しいと言う相談が持ち込まれた。現物を見に港の倉庫に行ってみると、エアコンの山積み! 下方のエアコンは潰れ、他のエアコンも錆が出た状態。それにもまして、まだ港のボンドから出ていない。税金がいくら掛かるかも判らないのに、売り先も何もあったものではない。その場で断ったのは当然であろう!

 また、ある人間は、ポルシェ924を日本で700万円で手に入れて持ち込んできた。その時の課税がタイでポルシェの新車を購入した場合の価格に対して同額の200%課税!約2000万円。そんな車をいったい誰が買うのか? 

 結局、そのポルシェは日本にも送り返せず、タイ国内にも持ち込めず、未だにボンドに寝ているのかな?それとも、お役人が乗り回しているのか?確実に判っているのは、日本人が大損をしたという事だけである。

 それでも、引きも切らず未だに日本人のシルバー世代の「一発屋」や「第二人生夢見組」がタイに押し寄せている。

 現実は、それ程甘くは無い!という事と、

 日本人神話は過去の遺物であると日本に向かって声を大にして叫びたい!

 

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