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2000.10.1発行 |
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(株)ジーピーエー Bangkok Offece Asoke
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Akira
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「ゴーゴーバー」という形式の店があるのは多くの人がご存じだと思う。ステージの上で水着姿(あるいは裸)の女性たちが踊り、客はそれを見ながら酒を飲むというバーである。実際には、客はダンサーやウェイトレスの女性をデートに連れ出すことが出来る。風俗産業の1ジャンルである。当然のことながら、基本的に客は男性だ。 ところが、個人的な印象ではあるが、どうもそうした店を楽しむ日本人女性が最近増えてきているような気がする。 タイに住んでいると、日本から訪ねてきた人を案内する機会がよくある。もちろん女性を案内することも多いのだが、ここのところ「ゴーゴーボーイへ行ったみたい」という女性がしばしばいるのだ。 「ゴーゴーボーイ」というのはゴーゴーバーの男性版である。水着姿の女性の代わりに、ブリーフの下着姿(あるいは裸)の男性たちがステージで踊っている。もちろんゴーゴーバー同様にダンサーは連れだし可能だ。だが、それは女性向けの店というわけではなく、基本的に客はゲイの人たちである。女性客の姿はごく少ない。 そうした店へ、日本人女性のリクエストで行くことが最近多い(ゴーゴーボーイのショーはかなりえげつないものがあるので、いくらか辟易しているのだけど)。キャーキャー言いながら見るものはしっかり見ている、というのがたいていの反応であるが、なかには自らダンサーの男の子を呼んで隣りに座らせる強者もいる。もっとも「ゴーゴーボーイへ行きたい」と言うのだから、それで当然なのか。 考えてみれば、昔から日本人女性(駐在員の奥さんたちも含めた)客の多いゴーゴーボーイ的な店もあった。それはその店がガイドブックなどによく取り上げられていて有名だからだと思う。日本のゲイバー的な店のように紹介されていたりもするので、そうした感覚で店を訪れる女性客が多いのかも知れない。 男性がゴーゴーバーなどにごく普通に興味を持つように、男性付きの飲み屋に興味を持つ女性が少なからずいるのはごく当たり前のことなのだろう。ぼくが以前案内したある女性は、日本でも「Jメンズ」のような男性ストリップ(?)バーに何度か行ったことがあるとのことだった。ここ最近、ぼくの周囲で「ゴーゴーボーイへ行ってみたい」という女性が多いのは、そういう店に興味を持つ女性が増えたというよりもタイにそうした店が存在するということが広く知られるようになったということであるのかもしれない。 ★ ところが。 最近、ゴーゴーボーイではなく本家ゴーゴーバーが好きという女性もいる。いや、ぼくがそうした女性の存在を知ったのが「最近」であるだけで、実は昔からいたのかもしれないけれど。 Mさんは、タイ語を学習するために1年間の予定でバンコクに住んでいる20代なかばの日本人女性だ。彼女が初めてタイに来たのは「たまたま知り合いがタイに住んでいたから」という偶然の理由によるが、やはり特に明確な理由らしい理由はなくタイが気に入り、1年という期間限定ではあるがタイにやってきてしまった最近多いパターンではある。そんなMさんがバンコクで好きなのは、ナナプラザのゴーゴーバーなのだ。 バンコクのゴーゴーバー・エリアのうち、もっともメジャーなのはパッポンだろう。パッポンにはゴーゴーバーばかりではなく、各種土産物などを売る屋台の並ぶナイトマーケットともなっており、男女問わず観光客が多い。そのため、ちょっと興味を出して覗いてみようと思うのか、ゴーゴーバーにも女性客の姿があることは別段珍しいことでもない。店内も比較的明るい店が多く、健全な雰囲気だ(もちろん、店の形態上「健全」であるはずもないのだけど)。 しかし、Mさんが好きだというナナプラザは、パッポンとは雰囲気が異なる。ナナプラザには、基本的にゴーゴーバーしか存在しない。そのためそこへ向かう客は、当然ゴーゴーバー目当ての男性客ばかりである。パッポンとは違い、店の中にも外にも、バーで働く女性以外の女性の姿を見かけることはまずないと言って良いだろう。また、客もタイ滞在者や、あるいは観光客であってもタイへのリピーターなど、そうした層だ。 ゴーゴーバーのどこが好きなのかMさん自身に訊いてみても、はっきりとした答えは返ってこない。ただ、パッポンよりもナナプラザのゴーゴーバーのほうが「落ちつく」のだそうだ。これは、ナナプラザを好きな多くの男性たちのセリフと同じである。 実は、Mさんはアルコールもほとんど飲めない。なおさら「どうしてゴーゴーバー?」という疑問も出てくるが、「ナナプラザには知り合いもいるし」と彼女は言う。ゴーゴーバーで働く女性たちは、それが仕事であるのか地であるのか区別がつかないほどにフレンドリーだ。相手が、最終的には彼女たちの仕事とは結びつかない女性客であっても、実に親しげに接してくる。1人でふらっと訪れても、誰かが話しかけてきてくれる。お互い片言の英語での会話ではあるが、それが楽しい。Mさんがゴーゴーバーを好きな理由は、おそらくそんなところだろう。ナナプラザがより好きだというのも、よりフレンドリーさを感じるからであるのだろう(パッポンはビジネスライクというのが一般的な評価ではある)。 Mさんに、ゴーゴーボーイには興味がないのか訊いてみると、行ったことはあるがゴーゴーバーのほうが好きとのことだった。「男性の裸よりも女性の裸を見ているほうがいい」と彼女は笑うが、Mさんがレズビアンであるというわけではない。Mさんは、ゴーゴーボーイでは自分が「客」になってしまうと言う。しかしゴーゴーバーでは、女性であるMさんは部外者であり、通常の客とは見なされない。ゴーゴーバーの女性たちとMさんとの関係は、客とホステスというものではなく、友だちに近い感覚になるのだそうだ。 ★ Aさんは、現在は日本在住だが、かつてタイに半年ほど暮らしたことがある。彼女はオーストラリアに滞在中にタイ人の恋人と知り合った(オーストラリアにはタイ人の留学生が多い)。その後彼とは別れたものの、彼を通じて多くのタイ人の友人が出来、タイへ来ることになった。そのため、彼女のタイ人の友人たちは、比較的裕福な層が多い。 ところが、普段そうしたタイ人付き合いのあるAさんも、ゴーゴーバーが好きだと言う。それも、ソイ・カウボーイのゴーゴーバーが好きなのだそうだ。 ソイ・カウボーイは、前述のナナ・プラザよりもさらにマニアックなエリアで、場末的な空気すら漂う場所である。Aさんは、現地で知り合った日本人男性に初めてソイ・カウボーイへ連れてこられたらしい。ソイ・カウボーイへ案内するその男性も男性だと思うが、酔っぱらってステージの上で踊り、他の男性客に指名されてしまったというAさんもAさんではある。彼女がソイ・カウボーイが好きな理由も、「雰囲気がフレンドリーだから」とのことだ。 ★ こうした事例はもちろん特殊なものだろうし、やはり「最近多い」とは言えないとも思う。タイに滞在する日本人女性に訊くと、好き嫌いは別として、ゴーゴーバーの類に一度は行ったことがある人がほとんどだ。これは、タイが外国であり、そしてゴーゴーバーも一種の観光地であるからなのだろうか。 ぼくは、そうとばかりは言えない気もする。 タイという国は、普通他の国ならばアンダーグラウンドである部分が、比較的堂々と表に出てきており、社会の表と裏、光と陰が混然としているところのある国だ。ゴーゴーバーに女性客という現象も、そうしたタイという国の性格が出ているように感じる。 ( akira) |
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